骨粗鬆症について:函館・松前の整形外科病院 - よしだ整形外科

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骨粗鬆症について

骨コラム(H28.9~H29.1)

頸椎疾患について(吉田院長 H28.9.8)

 

今回は、皆様が意外と御自分の状態を軽く考え、単なる『肩こり』と理解していらっしゃる方が多い頸椎の疾患について御話しします。
頻度の多い疾患は大きく3つ上げられますので個々に触れてみたいと思います。

1.頚椎症
比較的若年でも見られ首・肩甲骨付近の痛みや肩こりなどの症状がでます。
首を動かすと痛みが増しますが、手のしびれはありません。
この段階のうちに検査をうけ、知っておく事が大切です。
重症化すると両方の手足がしびれたり、動きが悪くなったりします。ひどくなると排尿や排便に異常がでたり、ボタンかけが難しくなる、階段を降りるのがこわくなるなどの症状がでます。これは首の骨(頚椎)の中を走る太い神経(脊髄)が障害されることによるものです(脊髄症)。

2.頚椎椎間板ヘルニア
椎間板は背骨をつなぎ、クッションの役目をしています。
その軟骨(髄核)が後方に突出し脊髄や神経根を圧迫して症状がでます。
元来、その方の椎間板の性質によって、スポーツ等で小児期に症状がでる場合もあります。

3.頚椎後縦靭帯骨化症(骨の難病指定となっています)
後縦靭帯骨化症では、脊椎椎体の後ろ側、つまり脊髄の前(のど側)にある後縦靭帯が厚くなり骨に変わります(骨化)。この骨化が神経(脊髄や神経根)を圧迫し、麻痺がでてくれば手術で圧迫を解除する必要もでてくる恐い病気です。

いずれも、脳に近い頚髄という重要な神経を障害する可能性のある疾患であり、肩こり、両手の軽いシビレ等、軽症のうちにレントゲンやMRI検査が必須です。
早期に治療するためにも是非当院へいらして下さい。

 

 

 

肩こりについて(理学療法士 一戸 H28.10.1)


今月の骨コラムを担当することになった理学療法士の一戸です。
前回のコラムでは、吉田院長から頚椎疾患のお話がありました。その中で『肩こり』と頚椎の関係性についてふれておりました。
そこで今回のコラムの内容として『肩こり』について取り上げていきたいと思います。

私が仕事をしているなかで、患者さんに肩こりがひどく、筋肉が硬くなっているから触ってみてと言われる方が数多くいらっしゃいます。
しかし、実際にいわゆる“肩こり筋(僧帽筋上部)”の検査を行うと筋自体は正常な状態であることが多々あり、逆に肩こりなんてしたことが無いという方でも検査してみると筋が硬直している場合も多々経験します。
この矛盾しているような実例を経験することによって、肩こりの自覚症状と肩こり筋の硬さの関係性を調べたくなり、私自身がごく簡易的な研究を行ってみたことがあります。
内容は下記に簡単に記載します。

【対象者】 17名(男性10名、女性7名)
【検査方法】
①肩こりの自覚症状に対する聞き取り調査
②筋触診法(重力と筋の伸張刺激をできるだけ取り除いた肢位にて触診)
【結果】
肩こり筋(僧帽筋上部)に硬さを生じていた人数15名。
その15名のなかで肩こりの自覚症状がある方の人数7名。
※半数以上の8名は肩こり筋が硬くとも自覚症状は無し。

首の根元(上部頚椎付近)に硬さを生じて人数8名。
その8名のなかで肩こりの自覚症状がある方の人数7名。

対象者数が17名と少なく簡易的な研究のため、確定的なことは何もいえませんが、いわゆる肩こり筋の実際の硬さと肩こりの症状との関係性は想像していたものよりはるかに低く、肩こり筋よりも首の根元の筋に硬さを生じた場合の方が、肩こりの自覚症状がある可能性が高いという傾向はあるように思われます。

強い肩こりで悩まされているような方々は肩こり筋をマッサージでほぐせば良くなると安易に考えるのではなく、頚椎疾患に対する可能性を考え、しっかりと医療機関で診察を受けることをお勧めしたいと思います。

 

 

 

肩周辺の疾患について(吉田院長 H28.11.15)

 

 寒さも一段と厳しくなり、多くの病をかかえて苦しんでいらっしゃる皆様にとってつらい季節となりました。沢山の不安御察しいたします。
今回は皆様にとってやや解り難い割りに、多くの方々を悩ませている肩周辺の病気について触れてみます。
まず圧倒的に多いのは広い意味での“肩こり”でしょう。
症状としては、首すじ、首の付け根から、肩または背中にかけて凝った、張った、痛いなどの感じがし、頭痛や吐き気を伴なうこともあります。
さらに自律神経、血圧を中心とする全身疾患や、ややまれな胸郭出口症候群、頚肩腕症候群の見極めも重要です。
肩関節を中心として多発するのがいわゆる五十肩(肩関節周囲炎)でしょう。
これは、中年以降、特に50歳代に多く見られ、その病態は多彩です。関節を構成する骨、軟骨、靭帯や腱などが老化して肩関節の周囲の組織に炎症が起きる事が主な原因と考えられています。
肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着するとさらに動きが悪くなります(拘縮または凍結肩)。全く原因不明で起こることも多く、時に夜間に激しい痛みで寝れなくなる事も有り、関節が痛み、関節の動きが悪くなります(運動制限)。
加えて、五十肩の原因の一部となり多発するのが肩腱板断裂です。
断裂の背景には腱板が肩峰と上腕骨骨頭にはさまれているという解剖学的関係と、腱板の老化がありますので、中年以降の病気といえます。明らかな外傷によるものは半数で、残りははっきりとした原因はなく、日常生活の動作の中で断裂がおきます。男性の右肩に多いことから肩の使いすぎが原因となっていることが推測されます。
診察では、肩が挙上できるかどうか、拘縮があるかどうか、肩を挙上して肩峰の下で軋轢音があるかどうか、棘下筋萎縮があるかどうかを調べます。
軋轢音や棘下筋萎縮があれば、腱板断裂を疑います。X線所見では肩峰と骨頭の間が狭くなります。MRIでは腱断裂が明確に診断可能となります。

以上頚椎、肩関節周辺の疾患でもまず正確な診断から始まることは当然です。その為にはこれらを見分ける診断力、そしてX-P、MRI等の装備は不可欠です。さらにこれらの治療には内服薬、注射等に加えて専門的なリハビリを要します。
まずは正しい診断、治療に向け当科を受診してください。

 

 

 

肩関節障害の運動療法について(理学療法士 一戸 H28.12.16)

 

12月のコラムを担当させていただく理学療法士の一戸です。前回は吉田院長より肩周囲の疾患についてお話がありました。
そこで今回は肩関節障害の運動療法について話していたきたいと思います。
昔は運動療法と言っても腕が上がらなくなった時は、そのままにしていては固まってしまうので痛くても無理矢理動かしましょうという単純な考え方が主流でした。
そのため、肩関節輪転運動器(壁に設置され、腕をグルグルと回す器具で今でも古い施設にはあるようです)などの器具が使用されてました。
その後、痛いのを無理矢理動かしても逆効果になるという考え方が主流となり痛くない方の上肢を使って痛い方の肩を動かす、上肢交互運動器(滑車)や棒体操などが行われるようになってきました。
しかし、この運動も基本的にはどこが悪いからこの運動を行うという明確なものではなく、とりあえず動かないのは良くないから負担がかかりにくいように動かすという大雑把なものであまり効果は期待できないものでした。
現在、肩関節障害の運動療法として主流となっている考え方は、肩関節自体に関しては肩関節のインナーマッスルである腱板(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の筋力トレーニングと肩関節以外の部位からの影響を考える運動連鎖に基づく考え方の二つを組み合わせる方法です。

今回は少しイメージしにくいと思うので運動連鎖の話を中心にしていこうと思います。
腕が上がるという動作は、上腕骨のみの運動ではありません。上腕骨とともに肩甲骨も連動していくことによって上肢の可動性は確保されます(肩甲上腕リズム)。
そのため肩甲骨の動きが悪くなると上肢の動きも悪くなります。

では、肩甲骨の動きとは? という話になります。
肩甲骨は胸郭(肋骨)の上に浮いた状態で位置しています。
そのため、胸郭の動きが悪くなると肩甲骨の動きが悪くなります。

肋骨の動きとは? 肋骨は脊柱に付着しています。
そのため脊柱の動きが悪くなると肋骨の動きも悪くなります。

脊柱の動きは? 脊柱は骨盤上に位置しています。
そのため、骨盤の位置が不良のときは脊柱の形状にも影響を受けます。

骨盤の位置とは? 立っている姿勢では両足の上に骨盤がのっています。
下肢の障害があると骨盤の位置も不良となっていきます。

このように腕が上がらないという症状が肩関節のみではなく、肩甲骨、肋骨、脊柱、下肢と全身のあらゆる部位から影響をうけている可能性が考えられるのです。

試しに下記のような動作をすると腕を挙げるという動作がいろいろな部位から影響を受けていることが体感できると思います。
①顔が真下を向いたままで、両上肢を挙げる。
②思いっきり猫背になった状態のままで、両上肢を挙げる。
③立った状態で両膝を曲げたまま、両上肢をあげる。
どれも普通に立った状態から両上肢を挙げるよりも上がりづらくなります。
肩関節の状態は変わらないのに他部位からの影響によってこのような現象が起こっていきます。
この腕が上がりづらい状態のままで、過剰に使用しすぎると肩関節に過負荷がかかり、損傷へと繋がっていく可能性が高くなります。
具体例としては、骨粗鬆症にて背中が曲がっている方は腕が上に挙がりづらくなり、洗濯物干しなどで両手を何回も腕を上に挙げていると肩を痛めるリスクは背中が曲がっていない方よりも高まります。
このように肩が痛い、腕が挙がらないという症状から肩関節自体の問題だけでなく様々な要因がからんでいることが多々あります。

前回のコラムで吉田院長より専門的なリハビリが必要とのコメントがありました。
この言葉を激励と受け止め、理学療法士としてさらに専門的な運動療法ができるように知識、技術をこれからも高めていきたいと思っております

 

 

 

患者様方への新年の御挨拶(吉田院長 H29.1.7)

 

明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、健やかに新年をお迎えになられたことを御祈り申し上げます。
例年に比べ暖かい日が続いていますが、その分寒暖の差も大きく体調を崩し易いともいえます。くれぐれも御注意下さい。北海道も北部では大雪、天災が多発していますが、道南では比較的今のところ穏やかな状況で少々ホッとしています。
しかし、明日何が起きるのか全く先の読めないのが自然界の宿命であり、残念ながら人間の健康もまた同じです。今はほとんど“苦にならない”些細な事が、重大な事態の前兆である事もしばしばで、私自身も沢山痛い目にあってきましたが、なかなか完全な備えというのは難しいものです。
恥ずかしいことに医者の私が自分の体にこれだけ苦労している中で、しっかりと前向きに予防に取り組んでいる皆様を拝見するにつけ、教えて頂く事ばかりの毎日です。
つい先日、ガンで苦しんでいらっしゃるある患者様が仰いました。
『私は死ねない、若い人に言う事が沢山ある』これからも“雑音”にゆるがず、自分自身と患者さんに真っ直ぐに向き合う医療、人生を心に刻んでいく覚悟です。

皆様、何とぞよろしく御願いいたします。

2017.1.1  吉田顕

 

吉田院長の「骨コラム」一覧
骨粗しょう症について



骨粗鬆症とは

 骨粗鬆症は、体格の変形や痛みを伴い、さらに体の各部位の骨折を起こすことによってQOL(生活の質)は著しく低下します。このことは、健康寿命(自分の身の回りのことは自分で出来、楽しく暮らせる寿命)を短くする重篤な病気です。当院では最新の診断機器を完備し、最適の治療をめざします。


当院における骨粗鬆症の診断、治療と予防について

<骨粗鬆症の診断>
 骨粗鬆症の診断は、変形性関節症、肩関節周囲炎、腰が痛い、足が痺れるといった一見主訴とは違うような患者様に対しても60歳を目安に拒否される患者様を除いて骨密度を測定しています。また、X線の撮り方ですが、普通は第3腰椎を中心に腰椎の4方向を撮りますが、それでは第1腰椎を撮影出来ずに圧迫骨折を見逃してしまいます。当院では55歳以上の方には第8胸椎と第3腰椎を中心に全ての撮影し骨粗鬆症を見逃さないようにしています。

<骨粗鬆症検査>

・問診
・X線撮影
・骨密度測定:DXA
・骨代謝マーカー
・MRI検査  など


<骨粗鬆症の予防と治療>
 骨粗鬆症は予防すべき疾患だと考えています。特に自覚症状がない、閉経前後の骨密度が急速に低下する時期が重要と考えており、さらなる骨密度の低下を防ぐ必要があります。「原発性骨粗鬆症の診断基準・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年度版」では運動や食事療法が推奨されてますが、実際されだけでは骨密度は低下し続けます。骨粗鬆症の治療と予防には、ビスフォスフォネート製剤が有効だと考えています。


骨粗鬆症検査について


<X線検査>
骨粗鬆症を起こすことが多い脊椎のX線検査が基本になります。椎体の骨梁や骨陰影濃度で骨量の減少の程度や椎体の骨折の有無を判定します。また、骨が溶けたように見えるがんの転移や高齢者に多い「変形性脊椎症」という骨の病気は骨粗鬆症と症状も似ていることもあり、どちらの病気かを詳しく見ていきます。
ただ、このX線検査では骨量を数値で知ることはできませんので、骨量計測検査を併せて行うことが、必要となります。


<骨量計測装置>
・DXA(デキサ法)
全身の骨量を正確に知る方法にデキサ法があります。性質の違う微量の二種類のX線を出して、全身の骨、あるいは腰椎、大腿骨など任意の部位の骨量を測定します。骨量の測定法では、デキサ法が最も精度が高いと言われています。しかしデキサ法の装置は、大型で費用がかかることなどから限られた医療施設にしか設置されていないのが現状ですが、精密検査には欠かせない装置といえます。

・MD法
簡便なレントゲン撮影法で、アルミ階段の板と一緒に両手の骨を撮影し、X線写真上からコンピューターを使って骨量を計測する方法で、正確さはデキサ法に劣るが、検査は短時間ですむという利点があり、集団検診で骨量が異常に低い人を見つけ出すには、MD法が有用という意見もある。ただし、骨粗鬆症にとって重要な「脊椎」や「大腿骨」など全身の骨量を計測できないのが、欠点である。

・QCT法
CT装置を用いて、脊椎の骨量を測る方法です。この方法は脊椎の骨量を直接測れるという利点があります。しかしデキサ法に比べて放射線を浴びる量が多く、また骨量検診のためだけにCTを使用することには難しい面もある。

・超音波法
踵の骨に超音波を当て、その骨の伝わる速度と減衰率を測って、骨量を求めるという検査法です。腹部超音波に使われるよりも低周波のものを使用するので、一番安全な骨量測定法と言えます。ただし、超音波は骨の構造にも左右されると考えられ、骨量だけを正確に測れているかどうかはまだ解明されていません。治療経過を追うような詳しい診断には今のところ不向きです。



<骨代謝マーカー>
骨にはカルシウム以外にもいろいろな成分が含まれています。骨の代謝により破壊と再生を繰り返しています。古くなった骨を破骨細胞がどんどん溶かして破壊すると、骨芽細胞が破壊された部分に新しい骨を形成して元の形に修復していきます。
骨の破壊と再生を繰り返す過程で、尿や血液にいろいろな成分がでてくるようになります。この出てきた成分の種類と量を調べることによって、骨粗鬆症になる可能性の予測ができるようになりました。この成分を骨代謝マーカーといい、今注目を集めている新検査法です。



<当院の骨量計測装置>
 当院の骨量計測装置はアメリカ、GE社製の「X線骨密度測定装置 PRODIGY」で、測定方式はデキサ(DXA)法です。










<PRODIGYの特徴は>
1きわめて正確に骨量を測定することができます。
2放射線を浴びる量は、通常のエックス線撮影法の1/10程度です。
3全身の骨あるいは腰椎、大腿骨など、任意の領域を自由に測定できます。
4測定時間が1か所であれば1分弱、全身の骨なら5分くらいと、検査時間が短い。
5検査終了後、すぐに結果がでます。

<検査を受ける方へ>
(1)ルーチンで腰椎と大腿骨の二か所の骨量を測定します。
(2)衣類にボタン、金属類があれば正確な測定はできませんので、検査衣に着替えて検査を始めます。
(3)検査台に仰向けに寝ていただきます。何の苦痛もなく3分ほどで検査が終了します。
検査終了後、瞬時に数値化し、骨量が年齢相応の標準値と比較して、どの程度なのか、グラフで示してくれます。


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