骨粗鬆症について:函館・松前の整形外科病院 - よしだ整形外科

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骨粗鬆症について

骨コラム(H28.4~H28.8)

骨粗鬆症と骨折の関係について(吉田院長 H28.4.25)

 

骨粗鬆症治療の二大目標は、QOLの向上又は維持と、将来の骨折の予防である。
もろくなってしまう事によって折れてしまう可能性は全身の骨に及びますが、まず比較的若年者から生じるのは手首と背骨でしょう。
どちらもささいな事で起きる事が多く、特に仕事をもっている方々の年代から発生し始めるため、多くの意味でつらい体験となってしまいます。
手首の骨折は50代から当然転ぶ事によって生じるため、より若い頃と同様な『ケガ』としてとらえられてしまう事が大半です。しかし、大切なのはこの骨折を予防することなのです。
また、背骨の圧迫骨折は急激な痛み等を伴わないことも多く、進行して行きます。本人にとっては背中が曲がって、多少身長が縮んだという程度の認識しか持てず、重症化してしまった状態を改善することはきわめて難しいのが現状です。加えて、70代以降に急増するのが、大腿骨近位部骨折です。緊急手術、長期入院の可能性が高いこの骨折は、我が国でも20万人の方に発生しています。両親にこの骨折の既往(家族歴)がある方には、そのリスクが2~3倍も高いとされています。
現在我々もこの骨折を予防することを最優先課題として研究を進めており、超高齢者の骨折発生がやや減り始めたというやや明るいニュースも伝わって来てはいます。
以上他にも骨粗鬆症関連の骨折は数多くありますが、皆様の健やかな将来に向け、その早期からの『予防』のネットワークを拡げる様に今後も当院は努力を続けてまいります。
不安をいだかれている方は是非当院へ御相談下さい。

 

 

 

Colles骨折後のリハビリについて(理学療法士 一戸 H28.5.21)

 

こんにちは、今月のコラムを担当することになった理学療法士の一戸です。
前回のコラムでは吉田院長より骨粗鬆症の方が発生しやすい骨折について様々なお話がありました。
そこで今回は、その中の一つに取り上げられていた手首の骨折(Colles骨折)について私が臨床で経験したことを中心に記載していこうと思います。

手首の骨折後のリハビリで難航する患者様の大きな特徴として怪我した方の手を使いすぎる方があげられます。
一般的には恐がって手を使わないようにする方が回復が遅くなるイメージがあると思いますが、このような場合は若干遅くなる程度で大きな問題になることはほとんどありません。
骨折が十分に治癒する前に仕事や家事などで強い負荷をかけすぎた場合は、いつまでも腫れが治まらずに、どんどん悪循環におちいってしまうことがあります。この使いすぎ(過用:overuse)が最もリスクの高い行為となります。

この使いすぎに注意してくださいと説明した後に、『どのくらい使っていいのですか』と質問されることがよくあります。
このように時は『痛みのない範囲で使ってください』とまずは答えるようにしています。
一見すると非常に曖昧な返答ですが、具体的に動作内容、時間、回数などの内容を決めてしまうと“痛み”という身体からの危険サインを無視してノルマをこなすように盲目的に使う場合が多くかえって過用を招く原因となることがあります。
痛みとは身体から意識に訴える重要なサインであり、この痛みを正確に感じとれるのは本人しかいません。
自分の身体と対話しながら動作を行っていくことが、手首の骨折後のリハビリ期間において非常に重要なポイントとなります。
この痛みとの対話ができるようになりリスク管理をできるようになった患者様に対しては、次の段階として私自身がしっかりとコミュニケーションをとりながら理学療法士として客観的に評価した動作のアドバイスを行うようにしています。

手首の骨折自体を早期に完治させる方法は運動療法にはありません。しかし、骨折治癒の邪魔をすることなく動作能力の向上に結びつける方法はあります。
このような方針をもとに一日でも早く普段の日常生活をすごせるようにリハビリを行っていきたいと考えております。

 

 

 

大腿骨頸部骨折後のリハビリについて(理学療法士 一戸 H28.6.18)

 

こんにちは、今月のコラムを担当させていただくことになった理学療法士の一戸です。
先月は骨粗鬆症の方に多い骨折としてColles骨折についてでしたが、今月は大腿骨頸部骨折後のリハビリについてコラムを書かせて頂きます。

本来は、転ばないことが最も重要なことであると考えますが、転倒を完全に予防することは難しく、今回は転倒した場合について考えていきたいと思います。

当然のことですが、転倒したからといって必ず骨折するわけではありません。
多くの場合は骨折にはいたらないですむことが多いのですが、不幸にも大腿骨頸部骨折を生じてしまった場合には歩行することが難しくなるなど大きな不利益を生じてしまいます。

そこで、転倒したとしても骨折しにくい骨にするということが重要となってきます。
この分野は、吉田院長がこれまでの骨コラムの中で様々な情報を提供してくださっているので過去のコラムを読んでいただきたいと思っております。

今回は、不幸にも転倒し大腿骨頸部骨折となった場合について話していきたいと思います。
リハビリで歩行の再獲得をはかる場合の予後予測として私が最も重視していることは、転倒前の歩行状態です。
簡単にいうと同じ程度の骨折であれば、屋外歩行が自立していた方はリハビリにて実用的な歩行ができる可能性は高いのですが、室内をかろうじて歩いていたような方はリハビリしても介助を要する歩行にとどまることが多くなります。

できるかぎり早期にリハビリを開始したとしても受傷側のみならず、全身の筋力低下は避けることはできません。 この低下に対応できる『余力』のあるなしが非常に重要となります。

この余力をつけるために日々の運動を積極的に行ってほしいのですが、将来おこるかどうか不明な不幸に対して継続的に運動をすることは難しいようです。
様々な健康器具を買った話はよく聞きますが、数年間継続して活用している方の話はほとんど聞きません。
運動すること自体を目標にしても続かないので、何か自分にとって好きなことや必要なことの中に運動を取り入れることが継続した運動を行ううえでポイントになります。

人とコミュニケーションをとることを好きな方は、ディサービスや地域で行われている催し物などに積極的に参加し外出機会を増やすことなどが有効な方法になります。また、畑仕事や山菜取りなどが好きな方は、やりすぎなければこれもよい運動になります。
後は、普段の生活をあえて『非効率的』にするのも一つの方法です。
例としては、買い物を一週間まとめ買いせずにあえて頻回にいくようにすれば外出する機会も増え、結果として運動量が増加します。
このような生活に基づいた活動性の向上であれば運動を意識せずに続けることができると思います。

以前、あまり自発的に運動をしない方から、『どんな運動をすればいいの?』とたずねられたことがあります。 その時は『送迎バスがあるから、来院する回数を増やすだけでも外出して体を動かす機会が増えるからきてみたらどうですか』と話したことがあります。
その方に合わせてですが、高齢者の方に対しては細かな運動プログラムを指導するよりも生活習慣となるような行動パターンを提示する方法が効果的な場合が数多くあります。

日々の活動性の向上が運動量を増加させ、不幸にも転倒し、大腿骨頸部骨折を生じた場合でも再度、歩いて帰宅できる可能性を高めることにつながっていきます。

・転倒リスクの軽減 ⇒ 転倒予防バランス運動、家屋環境整備など
・骨折する可能性を減少させる ⇒ 骨粗鬆症の治療など
・例え骨折しても日常生活に戻れる可能性を高める ⇒ 日常生活の活動性向上など

このように大腿骨頸部骨折に対応する方法はこのような様々な角度から考えられます。
皆さん、または皆さんの知人などにおいて現状で何が足りていないのかを考える一つのきっかけとなれば幸いと思います。

 

 

 

骨粗鬆症治療に本気で取り組んでいる皆様へ(H28.7.16)

 

歯科・口腔外科の先生方へ
患者さんはビスホスホネート系薬剤の治療を受けているか、治療を受けたことがあります。
●顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがあるので、抜歯等の侵襲的歯科処置はできるかぎり避けてください。
●処方の変更や中止の要否を処方医にご相談ください。
●異常を感じた場合すみやかに受診するようにご説明ください。
●口腔内を清潔に保つように、ご指導ください。
BON0010.2
2014年6月改訂

歯科に関する多くの治療で、上記パンフレットに接しお困りの方々も多い事でしょう。
最近では週刊誌、マスコミとも、医療医薬に対する効果よりも副作用のみを取り上げ、自分達の記事の興味をそそり、売れれば後はいかなる混乱が起きても無関係というこの“ペンの暴力”には呆れるばかりです。
この種の薬剤による問題は本当に因果関係が有り得ることすら証明されていないにもかかわらず、ポジションペーパーなるものが出されたのは我々医師側にも責任は有ると思います。
実は一人の女性が一生の間に骨粗鬆症による様々の障害を起こす確率は無治療ではきわめて高く、逆にこのカードに有る様なきわめてまれな副作用が起こり得るとしても、例えは悪いですが“宝くじ”で一等○億円があたる程度の確率です。しかもこれを防ぐとされる休薬期間に関しても全く根拠が示されておらず、まるで大手術の前に“血液サラサラ”の薬を止める如く言い渡されているのが現状です。
このような状況では、私は骨粗鬆症治療の根本的危機と考えていますが、現実に皆様は歯科的治療を要する事も多いでしょうし、やむを得ないのでしょう。

皆様、解らない事が有りましたら当院に是非御相談ください。

 

 

 

骨と筋の関係性について(理学療法士 一戸 H28.8.3)

 

今月のコラムを担当することになりました理学療法士の一戸です。
今回は、私が臨床で感じている『骨と筋の関係性』に対する誤解について書いていきたいと思っています。
背中が曲がってきた患者さんから、薬じゃなくて食事と運動だけで治したいのでどんな運動をすればよいの? と尋ねられることがあります。
このような場合は、『運動だけでは難しいのでしっかりと骨の治療を受けてください』と言うようにしています。

根本的なことなのですが、筋とは二つ以上の骨に付着して関節に作用するものです。
土台である骨が脆弱化や変形を生じると筋は十分な張力を発揮できなくなります。簡単な言葉にすると筋力が弱くなります。
健康な骨があってこそ力を発揮できるのが、筋なのです。
骨と筋のどちらが大事ですか?
と聞かれたらどちらも重要なのは前提ですが、迷うことなく『骨』と答えます。

最近の一般的な風潮として何でも筋力トレーニングをすると何でも良くなるという『筋力トレーニング万能説』があるように感じています。
腰が痛い ⇒ 腰の筋力トレーニング
膝が痛い ⇒ 膝の筋力トレーニング
背中が曲がる ⇒ 背筋トレーニング
運動パフォーマンスをあげたい ⇒ 体幹筋トレーニング
など、いたって短絡的にこれで良くなるという思い込みがあるように思われます。

筋に対して負荷をかければ筋力が増強するというのは、あくまでも運動器が正常の場合のみであり、運動器に異常が生じている場合には痛みの発生や、逆に筋力低下を起こす場合もあります。
そもそも筋力というものを単純化して簡単にとらえすぎている傾向が強くなっていると思われます。
若い時期で骨に問題がでにくい場合であれば、トレーニングをすることにより改善する場合が多いと思われますが、高齢になり骨など様々な運動器に問題が生じてきている場合では上手くいかない場合が多々生じてしまいます。
しっかりとした骨の治療を行いながら、その症状にあわせた筋力トレーニングを行わないとせっかく頑張っても効果はでないことを説明していくことも理学療法士としての責務であると考えています。

 

吉田院長の「骨コラム」一覧
骨粗しょう症について



骨粗鬆症とは

 骨粗鬆症は、体格の変形や痛みを伴い、さらに体の各部位の骨折を起こすことによってQOL(生活の質)は著しく低下します。このことは、健康寿命(自分の身の回りのことは自分で出来、楽しく暮らせる寿命)を短くする重篤な病気です。当院では最新の診断機器を完備し、最適の治療をめざします。


当院における骨粗鬆症の診断、治療と予防について

<骨粗鬆症の診断>
 骨粗鬆症の診断は、変形性関節症、肩関節周囲炎、腰が痛い、足が痺れるといった一見主訴とは違うような患者様に対しても60歳を目安に拒否される患者様を除いて骨密度を測定しています。また、X線の撮り方ですが、普通は第3腰椎を中心に腰椎の4方向を撮りますが、それでは第1腰椎を撮影出来ずに圧迫骨折を見逃してしまいます。当院では55歳以上の方には第8胸椎と第3腰椎を中心に全ての撮影し骨粗鬆症を見逃さないようにしています。

<骨粗鬆症検査>

・問診
・X線撮影
・骨密度測定:DXA
・骨代謝マーカー
・MRI検査  など


<骨粗鬆症の予防と治療>
 骨粗鬆症は予防すべき疾患だと考えています。特に自覚症状がない、閉経前後の骨密度が急速に低下する時期が重要と考えており、さらなる骨密度の低下を防ぐ必要があります。「原発性骨粗鬆症の診断基準・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年度版」では運動や食事療法が推奨されてますが、実際されだけでは骨密度は低下し続けます。骨粗鬆症の治療と予防には、ビスフォスフォネート製剤が有効だと考えています。


骨粗鬆症検査について


<X線検査>
骨粗鬆症を起こすことが多い脊椎のX線検査が基本になります。椎体の骨梁や骨陰影濃度で骨量の減少の程度や椎体の骨折の有無を判定します。また、骨が溶けたように見えるがんの転移や高齢者に多い「変形性脊椎症」という骨の病気は骨粗鬆症と症状も似ていることもあり、どちらの病気かを詳しく見ていきます。
ただ、このX線検査では骨量を数値で知ることはできませんので、骨量計測検査を併せて行うことが、必要となります。


<骨量計測装置>
・DXA(デキサ法)
全身の骨量を正確に知る方法にデキサ法があります。性質の違う微量の二種類のX線を出して、全身の骨、あるいは腰椎、大腿骨など任意の部位の骨量を測定します。骨量の測定法では、デキサ法が最も精度が高いと言われています。しかしデキサ法の装置は、大型で費用がかかることなどから限られた医療施設にしか設置されていないのが現状ですが、精密検査には欠かせない装置といえます。

・MD法
簡便なレントゲン撮影法で、アルミ階段の板と一緒に両手の骨を撮影し、X線写真上からコンピューターを使って骨量を計測する方法で、正確さはデキサ法に劣るが、検査は短時間ですむという利点があり、集団検診で骨量が異常に低い人を見つけ出すには、MD法が有用という意見もある。ただし、骨粗鬆症にとって重要な「脊椎」や「大腿骨」など全身の骨量を計測できないのが、欠点である。

・QCT法
CT装置を用いて、脊椎の骨量を測る方法です。この方法は脊椎の骨量を直接測れるという利点があります。しかしデキサ法に比べて放射線を浴びる量が多く、また骨量検診のためだけにCTを使用することには難しい面もある。

・超音波法
踵の骨に超音波を当て、その骨の伝わる速度と減衰率を測って、骨量を求めるという検査法です。腹部超音波に使われるよりも低周波のものを使用するので、一番安全な骨量測定法と言えます。ただし、超音波は骨の構造にも左右されると考えられ、骨量だけを正確に測れているかどうかはまだ解明されていません。治療経過を追うような詳しい診断には今のところ不向きです。



<骨代謝マーカー>
骨にはカルシウム以外にもいろいろな成分が含まれています。骨の代謝により破壊と再生を繰り返しています。古くなった骨を破骨細胞がどんどん溶かして破壊すると、骨芽細胞が破壊された部分に新しい骨を形成して元の形に修復していきます。
骨の破壊と再生を繰り返す過程で、尿や血液にいろいろな成分がでてくるようになります。この出てきた成分の種類と量を調べることによって、骨粗鬆症になる可能性の予測ができるようになりました。この成分を骨代謝マーカーといい、今注目を集めている新検査法です。



<当院の骨量計測装置>
 当院の骨量計測装置はアメリカ、GE社製の「X線骨密度測定装置 PRODIGY」で、測定方式はデキサ(DXA)法です。










<PRODIGYの特徴は>
1きわめて正確に骨量を測定することができます。
2放射線を浴びる量は、通常のエックス線撮影法の1/10程度です。
3全身の骨あるいは腰椎、大腿骨など、任意の領域を自由に測定できます。
4測定時間が1か所であれば1分弱、全身の骨なら5分くらいと、検査時間が短い。
5検査終了後、すぐに結果がでます。

<検査を受ける方へ>
(1)ルーチンで腰椎と大腿骨の二か所の骨量を測定します。
(2)衣類にボタン、金属類があれば正確な測定はできませんので、検査衣に着替えて検査を始めます。
(3)検査台に仰向けに寝ていただきます。何の苦痛もなく3分ほどで検査が終了します。
検査終了後、瞬時に数値化し、骨量が年齢相応の標準値と比較して、どの程度なのか、グラフで示してくれます。


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