骨粗鬆症について:函館・松前の整形外科病院 - よしだ整形外科

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骨粗鬆症について

第16~19回骨コラム(H23.2~H23.6)

第16回 骨コラム 『骨粗鬆症治療の最前線』 (H23.2.9)

 

今回は現在開発中の新しい治療法を含め御紹介します。骨粗鬆症の治療は「骨の吸収の抑制」と「骨の形成の促進」に大きく二分されます。現在、骨粗鬆症治療の主役であるビスホスネート製剤とSERMをはじめとする骨吸収抑制薬は、破骨細胞の活性を低下させ、骨吸収を抑制して新たな骨破壊を抑制する。しかし、骨吸収を抑制することで骨芽細胞の分化も少なくなり、骨形成が同時に抑制されてしまう負の側面があった。これに対して近年使用可能となったPTH製剤は前駆細胞の骨芽細胞のアポトーシスを抑制することで骨新生を促進するという全く異なる効果が期待出来ます。これに加えて、従来から広く使用されているカルシトニン製剤の有効活用により腰背部痛に対し、より確実な治療が可能となったと考えてよいでしょう。さらに従来型より強力となったビタミン製剤の新型も近日中に登場し、他にも有力な薬剤が続々と近年発売を予定されています。これらの治療法の適切な使用(使い分け)により我が国の骨粗鬆症治療は、ここ2・3年で飛躍的に進歩することでしょう。しかし、これらのいかに優れた薬剤も、その有効性が発揮されるには、医師の力量がより強く問われるのです。すなわち今後、骨粗鬆症の治療はより高い専門性が不可欠になるでしょう。

 

 

 

第17回 骨コラム  『ビタミンDについて』 (H23.4.14)

 

世の中が騒然としています。この様な時に学問か?! と思われる方も多いと思います。しかし、未来に向けて人はより健康である事を願って止まないでしょうし、医学もまた前進が必要でしょう。私も心を奮い立たせてコラムに取り掛かり続けます。
 今回は古くて新しいビタミンD(VD)をテーマとしました。VDは1922年に発見された抗くる病(骨軟化病)因子です。米国、欧州ではすでにサプリメントとして牛乳への添加が義務付けられていますが、日本では骨粗鬆症の治療薬として古くから使われてきました。その主な作用は、カルシウムを骨に吸収して運搬する事ですが、近年高齢者において、身体のバランス保持、筋力の増強作用が注目され、転倒、骨折の予防に有用である事が解明されました。さらにVDは、かぜ、自己免疫疾患、ガンの予防等々に有用である事が次々と報告されています。この様にVDは非常に多くの疾患にかかわって事から、日ごとに関心が高まっている現状です。当然、血中のビタミンD(25(OH)D)濃度の測定が不可欠になるのですが、我が国の保険診療では測定が認められていません。実に残念なことだと考えます。2003年にすでに、神戸薬科大学の岡野教授らは、VDの血中濃度を10ng/mL以下を欠乏、20ng/mL以下を不足状態と定義し、日本人高齢女性の約半分がVDの不足状態にあると報告しています。VDはこの様に、食品(サプリメント)と日照から得られるのですが、主な供給源は食品ではなく日照であるとされています。若い人では1時間程度の日照を外で受ける事は容易でしょうが、高齢者では難しく、また食品からのVD摂取も少なくなりがちですから、一般的には高齢者のVDが不足ないし欠乏していらっしゃる方も多いと考えてよいでしょう。
皆さん、桜ももうすぐ咲くかという陽気となって来ました。少ない時間でも時間でも外へ出て体を動かしましょう。

 

 

 

第18回 骨コラム 『いわゆるサプリメントについて』 (H23.5.26)

 

骨の強度を維持するための栄養素の代表は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKであり、これに良質のタンパク質を取ることが特に高齢者の方々には大切です。ごく一部には、これらのサプリメント(カルシウムとビタミンD)の大量摂取によって骨折が抑制されたという報告も見られます。
 しかし、将来の骨折リスクが、ある程度のレベルに達してしまっている患者さんにとって、これらのサプリメントは、主な治療薬の効果をわずかに高める事しかできないという事を理解していただく事が大切です。「私は薬が嫌いだから食事療法のみで骨粗鬆症を治す」とおっしゃる方も多く見られますが、大変な誤りである事を知っていただきたいと思います。参考までに、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを多く含む食品例をご紹介します。しかし、これらは、決してあなたの将来の骨折発生を予防出来るものではありません。

 

 

 

骨コラム 〔番外編〕 (H23.3.18)

 

 皆様が1人でも多く御元気である事を祈り書かせていただきます。何の因果か、私の55歳の誕生日に1000年に一度の大地震がおきてしまい、今、日本人1人1人の心の中に有った漠然とした安全神話は完全に粉砕されてしまったと言えるでしょう。この様な中で、予定されていた研究会等々がほとんど中止の方向に向かっています。安全、人員の確保が出来ないという理由は理解出来ますが、見方を変えて、狭い日本の中で大きな不幸をかかえ苦しんでいる方々へ、各所では元気で活動している人間が存在する事も、間接的な支援になるのではないかと私は考えます。
 話しを骨粗鬆症にもどすと、最近ビスフォフォネート(BP)によって起こりうるとされている顎骨壊死(ONJ)、非定型的大腿骨骨折がとりあげられるにつれて、多くの歯科医がONJに関するパンフレット(類)をきわめて安易に配布している様です。先日も私の所へ「先生の出した薬を飲んでいる限り虫歯の抜歯はしてくれないと歯医者に言われたけれど、どうしてくれる!」と怒ってこられた患者さんがいらして大変な目にあいました。私は明言します。現時点でONJとBPの関連性を明確にしたエビデンスはありません。また、BPの骨中半減期から考えて、抜歯前後の3カ月の休薬は意味をもちえません。さらにこれが有り得るとしても、その確率はきわめて低く、BPによる骨折リスク抑制とリスク×ベニフィットを考えると、かけ離れた数字であることは明白です。この混乱は、まさに現在の大災害において正しい情報への危機管理に酷似していると考えます。

 

 

 

第19回 骨コラム (H23.6.23)

 

 数年前頃からビスフォスフォネート製剤(BP)によって起こるとされる顎骨壊死(ONJ)、最近では非定型的大腿骨骨折が議論を呼んでいます。確かにある特殊な状況下で、静注のBPによっての発症は、古来指摘されてきました。しかし、私が治療させていただいている患者さん(約2000例)の中でこれらの合併症が起こったことは今だありません。だが、米国骨代謝学会及び日本の厚生労働省も、これらの合併症は存在し得るという立場を示しています。私は、ここに至るまでの詳細な調査が不足していると考えています。その中でも大きな問題は、合併する疾患、他の多くの併用薬の影響、さらには個々の遺伝子レベル等まで、つきつめた骨折リスク背影因子の検討でしょう。BPは全世界で骨粗鬆症の患者さんのQOLの向上、骨折リスクの抑制に大きな役割を果たしてきました。それらは膨大なエビデンスを背影とするものなのです。

 

吉田院長の「骨コラム」一覧
骨粗しょう症について



骨粗鬆症とは

 骨粗鬆症は、体格の変形や痛みを伴い、さらに体の各部位の骨折を起こすことによってQOL(生活の質)は著しく低下します。このことは、健康寿命(自分の身の回りのことは自分で出来、楽しく暮らせる寿命)を短くする重篤な病気です。当院では最新の診断機器を完備し、最適の治療をめざします。


当院における骨粗鬆症の診断、治療と予防について

<骨粗鬆症の診断>
 骨粗鬆症の診断は、変形性関節症、肩関節周囲炎、腰が痛い、足が痺れるといった一見主訴とは違うような患者様に対しても60歳を目安に拒否される患者様を除いて骨密度を測定しています。また、X線の撮り方ですが、普通は第3腰椎を中心に腰椎の4方向を撮りますが、それでは第1腰椎を撮影出来ずに圧迫骨折を見逃してしまいます。当院では55歳以上の方には第8胸椎と第3腰椎を中心に全ての撮影し骨粗鬆症を見逃さないようにしています。

<骨粗鬆症検査>

・問診
・X線撮影
・骨密度測定:DXA
・骨代謝マーカー
・MRI検査  など


<骨粗鬆症の予防と治療>
 骨粗鬆症は予防すべき疾患だと考えています。特に自覚症状がない、閉経前後の骨密度が急速に低下する時期が重要と考えており、さらなる骨密度の低下を防ぐ必要があります。「原発性骨粗鬆症の診断基準・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年度版」では運動や食事療法が推奨されてますが、実際されだけでは骨密度は低下し続けます。骨粗鬆症の治療と予防には、ビスフォスフォネート製剤が有効だと考えています。


骨粗鬆症検査について


<X線検査>
骨粗鬆症を起こすことが多い脊椎のX線検査が基本になります。椎体の骨梁や骨陰影濃度で骨量の減少の程度や椎体の骨折の有無を判定します。また、骨が溶けたように見えるがんの転移や高齢者に多い「変形性脊椎症」という骨の病気は骨粗鬆症と症状も似ていることもあり、どちらの病気かを詳しく見ていきます。
ただ、このX線検査では骨量を数値で知ることはできませんので、骨量計測検査を併せて行うことが、必要となります。


<骨量計測装置>
・DXA(デキサ法)
全身の骨量を正確に知る方法にデキサ法があります。性質の違う微量の二種類のX線を出して、全身の骨、あるいは腰椎、大腿骨など任意の部位の骨量を測定します。骨量の測定法では、デキサ法が最も精度が高いと言われています。しかしデキサ法の装置は、大型で費用がかかることなどから限られた医療施設にしか設置されていないのが現状ですが、精密検査には欠かせない装置といえます。

・MD法
簡便なレントゲン撮影法で、アルミ階段の板と一緒に両手の骨を撮影し、X線写真上からコンピューターを使って骨量を計測する方法で、正確さはデキサ法に劣るが、検査は短時間ですむという利点があり、集団検診で骨量が異常に低い人を見つけ出すには、MD法が有用という意見もある。ただし、骨粗鬆症にとって重要な「脊椎」や「大腿骨」など全身の骨量を計測できないのが、欠点である。

・QCT法
CT装置を用いて、脊椎の骨量を測る方法です。この方法は脊椎の骨量を直接測れるという利点があります。しかしデキサ法に比べて放射線を浴びる量が多く、また骨量検診のためだけにCTを使用することには難しい面もある。

・超音波法
踵の骨に超音波を当て、その骨の伝わる速度と減衰率を測って、骨量を求めるという検査法です。腹部超音波に使われるよりも低周波のものを使用するので、一番安全な骨量測定法と言えます。ただし、超音波は骨の構造にも左右されると考えられ、骨量だけを正確に測れているかどうかはまだ解明されていません。治療経過を追うような詳しい診断には今のところ不向きです。



<骨代謝マーカー>
骨にはカルシウム以外にもいろいろな成分が含まれています。骨の代謝により破壊と再生を繰り返しています。古くなった骨を破骨細胞がどんどん溶かして破壊すると、骨芽細胞が破壊された部分に新しい骨を形成して元の形に修復していきます。
骨の破壊と再生を繰り返す過程で、尿や血液にいろいろな成分がでてくるようになります。この出てきた成分の種類と量を調べることによって、骨粗鬆症になる可能性の予測ができるようになりました。この成分を骨代謝マーカーといい、今注目を集めている新検査法です。



<当院の骨量計測装置>
 当院の骨量計測装置はアメリカ、GE社製の「X線骨密度測定装置 PRODIGY」で、測定方式はデキサ(DXA)法です。










<PRODIGYの特徴は>
1きわめて正確に骨量を測定することができます。
2放射線を浴びる量は、通常のエックス線撮影法の1/10程度です。
3全身の骨あるいは腰椎、大腿骨など、任意の領域を自由に測定できます。
4測定時間が1か所であれば1分弱、全身の骨なら5分くらいと、検査時間が短い。
5検査終了後、すぐに結果がでます。

<検査を受ける方へ>
(1)ルーチンで腰椎と大腿骨の二か所の骨量を測定します。
(2)衣類にボタン、金属類があれば正確な測定はできませんので、検査衣に着替えて検査を始めます。
(3)検査台に仰向けに寝ていただきます。何の苦痛もなく3分ほどで検査が終了します。
検査終了後、瞬時に数値化し、骨量が年齢相応の標準値と比較して、どの程度なのか、グラフで示してくれます。


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