骨粗鬆症について:函館・松前の整形外科病院 - よしだ整形外科

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骨粗鬆症について

第11~15回骨コラム(H22.9~H23.1)

第11回 骨コラム 『骨粗鬆症の総合診断』 (H22.9.15)

 

今回は骨粗鬆症の“総合診断”をテーマにしました。現在でも20年以上前からの骨密度測定方法が検診として各地で行われており、しかも、その“数値のみ”で診断がなされている事も多い様です。近年になって、骨粗鬆症発症のリスクに関連する因子が次々と解って来ています。加えて、骨密度測定はDXA法(二重エネルギーX線)により、腰椎および股関節を測定する事がもはやスタンダードとなっています。すなわち、DXA法によってのみ、現時点では骨密度(≒骨強度)の変化が正確に計測可能となるのです。さらに数年前からは、血液・尿検査による“骨代謝マーカー”が広く活用され、骨の変化をより“早く”“鋭敏”にとらえる事が可能となり、現在の状態のみならず、治療方法、効果の判定、さらには将来の予測までもが可能となっています。この骨代謝マーカーの有効利用が、治療の大きなキーポイントになるでしょう。これに正確な背骨のレントゲン撮影を加える事で、その診断はより精度を増す事になります。是非、正しい診断法により、正しい御自身の状態を把握する事によって、近い将来にせまっている骨折 ⇒ QOL(生活の質)の低下、寝たきりを予防する様心掛けていただく事を願います。

※DXA法、骨代謝マーカーについての詳しい説明はホームページ内の『骨粗鬆症について』のページに記載してあります。是非、ご覧下さい。

 

 

 

第12回 骨コラム 『骨粗鬆症の診断専門病医院に関して』 (H22.10.13)

 

全国各地で骨粗鬆症による寝たきりを防止する運動が高まりをみせて来ました。すなわち骨粗鬆症は単なる老化ではなく、骨の代謝異常による疾患であり、多くの生活習慣病(糖尿病、動脈硬化、高脂肪症)と密接な関係のある重篤な病態である事は、すでに概念として定着したと考えてよいでしょう。この様ななかで、各科のプライマリーケア担当の先生方に骨粗鬆症治療の裾野を広げていただく事も確かに重要だと思われます。しかし、ここまで速いスピードで変化する治療大系をより有効に活用すべく専門性が要求されるのもやむを得ないでしょう。先日、『財団法人 骨粗鬆症財団 理事長 折茂 肇 先生』より当院へ、骨粗鬆症の診療専門病医院として紹介に関するお願いをいただきました。骨粗鬆症治療は“薬を出しっ放しでそれっきり”の時代は終わりを告げたと考えます。以下は今回いただいた文面です。

拝啓
 時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、当財団は、骨粗鬆症に係わる「調査研究助成」の他「一般市民を対象とする啓発活動」を主要な任務としております。その一環として当財団ホームページに、骨粗鬆症に診療を専門的に行う病医院の紹介コーナーを設け、一般市民への便宜を図っております。
 しかしながら、現在の紹介病医院数は大変少なく実用性が低いことから、全国的により広範な紹介が強く望まれております。また、骨粗鬆症の患者さんが全国で1100万人を突破していると言われている中で、実際に治療を受けている方の割合が2割にも満たないという現実があります。将来、骨粗鬆症性の骨折を起こして寝たきりの状態になるのを予防するためにも、骨粗鬆症を専門的に診られている施設を患者さんに知っていただき、的確な治療をしていただくことが必要であると思います。
 当財団では骨粗鬆症学会の了解も得て、下記条件を満たす病医院(及び医師)をホームページにて紹介させて頂いております。

<紹介を行う病医院の条件>
① 所属医師が骨粗鬆症学会の会員である(専門性の判断基準)。
② 何らかの骨量(骨密度)測定器を有する。
③ 病医院(及び医師)が紹介を希望または了解していること。
上記は①及び②を満たさず紹介を希望される病医院については、当財団内の委員会にて審議させていただいております。

つきましては、貴病医院及び医師を当財団ホームページでご紹介させていただきたく存じます。

 当院は専門病院として、今後皆様の老後のQOL向上に向けて懸命に取り組んでまいります。しつこい様ですが最後に強調させていただきます。骨粗鬆症治療薬は他疾患の治療のついでに処方すべきものではありません。

 

 

 

第13回 骨コラム 『関節リウマチの治療について』 (H22.11.17)

 

 今回は骨粗鬆症とも深く関連している“関節リウマチ”の治療を主にしたいと思います。現在の最先端の医学をもってしても決定的な原因が解明されていない関節リウマチですが、現時点では分子レベルの分析が進み、自己免疫反応の主役となる多くの物質が発見され、それらによる炎症を強力に抑える薬(いわゆる生物学的製剤)が、ここ数年次々と開発されています。私が整形外科医として関節リウマチ患者さんの治療(薬物・手術)に取り組み始めたのは30年以上前でした。最新の薬は、その投薬方法、副作用の問題等についてまだまだ検討されるべきですが、その効果は従来の抗リウマチ薬とは全く比べものにならない位優れており、とくに、早期から使われた方はほぼ寛解もしくは『治癒!』されている方も多く、私自身も驚かされる事も多いです。しかし、これらの優れた薬も医者の不勉強によって、多くの患者さんが恩恵を受けられずにいる様に見えます。大変残念なことです。
 話しは変わりますが、リウマチ患者さんのQOLを著しく損なう三大原因は、①古いNSAIDSによる消化管傷害 ②特有の経過をたどる間質性肺炎 ③継発性骨粗鬆症による腰背部痛と骨折(特にステロイドホルモン多用例)があげられるでしょう。①②については『専門』の内科との連携が必要でしょうし、③はビスフォスネートが著効する事が示されており、併用はすでにガイドラインにも明記されています。この様に、関節リウマチの治療は数々の専門性を要求されるべきものと考えられます。ところが、リウマチの患者さんが、専門医の治療をうけている率は決して高くないのが現状でしょう。その原因の多くは医者側の認識の誤りによるところが多いと私は考えます。関節リウマチは一般医が“ついで”に対応できる疾患ではないのです。是非、専門医を選んで最適の医療を受けられる事を願っています。

 

 

 

第14回 骨コラム (H22.12.15)

 

 私が骨粗鬆症の治療に携わる様になって痛切に感じた事は、まず、患者さん側の自分の病状に対する理解、今後に関する受け止め方、かかわり方の差から来る難しさでした。骨粗鬆症=老化(仕方の無いもの)という考え方を持たれる事は、避けなれない事でしょう。すなわち背中が曲がり、腰が多少痛くても、たとえ高度の椎体の圧迫骨折があったとしても“トシ相応”に動けていればそれでよしとする御本人の気持ちは変えられないでしょう。それに加えて我が国の保険医療の中では、現時点でそれ程不自由を感じていない、自分の将来のために真剣にとりくもうという輪を広げる事は大変難しいと思われます。この点は、骨粗鬆症の治療に深く、真剣に携わった先生方の多くが感じていらっしゃる事でしょう。さらに、問題なのは、骨粗鬆症を全く勉強していない医者が広く治療にかかわっている事です。この手の医者は、治療薬を出しても、その後は放ったらかしがほとんどです。私の知る限り、これ程、急速に学問体系が進歩・変化し、それにつれて多くの医者の診断の誤り、治療法選択の不適切さが多い分野は、まれではないかと考えさせられます。よくある例としては、DXA装置(これも完璧なものではないとしても)が無い病院で、他の方法で骨密度測定をうけ“全く骨は若いので大丈夫”と言われ、当院でのDXAによる数値を見て驚かされる事がいかに多い事か・・・。さらに、骨折のリスクファクターの問診もしない為、患者さん御本人は当然(しばらくは大丈夫)と理解し放置される。そして、何らかの骨折を起こして始めて来院し、“遅かった!”と落胆される方々がきわめて多いのです。これでは、医者としての基本姿勢が疑問視されても仕方がなしと私は考えます。多くの医療分野がこれだけ細分化し、専門化されている中で、骨粗鬆症は全く野放し状態です。
一刻も早いこの分野の専門性の導入を切に願い、2010年を終わりにしたいと思います。
              メリークリスマス!

 

 

第15回 骨コラム (H23.1.13)

 

 広がる骨粗鬆症治療の選択肢に関して触れてみます。我が国は高齢者をささえるべき若年層が減少の一途をたどり、もはや高齢者の健康寿命の増進はきわめて重大な問題となっています。私を含めて今は現役の皆様も近い将来自分の身の回りの事はいかに高齢となっても自分でしなければならない時代が来たのです。ここで、体の柱である骨格の変形、骨折を引き起こす骨粗鬆症の治療が大きくクローズアップされてきたと言えます。それにつれて、すでに海外では広く用いられている新しい薬も、我が国で使用が認められ始め、治療法の選択肢は大きく広がりました。現時点での3大薬剤は、ビスフォスフォネート、SERM、PTH製剤でしょう。それに今後新発売予定の薬剤も含めて、骨粗鬆症の治療体系は飛躍的な進歩をとげています。この様な現状の中で、これらの有効な治療手段を使いこなせない医師は、骨粗鬆症を扱う資格が無いと考えるべき時代がもう始まっていると私は考えます。

 

吉田院長の「骨コラム」一覧
骨粗しょう症について



骨粗鬆症とは

 骨粗鬆症は、体格の変形や痛みを伴い、さらに体の各部位の骨折を起こすことによってQOL(生活の質)は著しく低下します。このことは、健康寿命(自分の身の回りのことは自分で出来、楽しく暮らせる寿命)を短くする重篤な病気です。当院では最新の診断機器を完備し、最適の治療をめざします。


当院における骨粗鬆症の診断、治療と予防について

<骨粗鬆症の診断>
 骨粗鬆症の診断は、変形性関節症、肩関節周囲炎、腰が痛い、足が痺れるといった一見主訴とは違うような患者様に対しても60歳を目安に拒否される患者様を除いて骨密度を測定しています。また、X線の撮り方ですが、普通は第3腰椎を中心に腰椎の4方向を撮りますが、それでは第1腰椎を撮影出来ずに圧迫骨折を見逃してしまいます。当院では55歳以上の方には第8胸椎と第3腰椎を中心に全ての撮影し骨粗鬆症を見逃さないようにしています。

<骨粗鬆症検査>

・問診
・X線撮影
・骨密度測定:DXA
・骨代謝マーカー
・MRI検査  など


<骨粗鬆症の予防と治療>
 骨粗鬆症は予防すべき疾患だと考えています。特に自覚症状がない、閉経前後の骨密度が急速に低下する時期が重要と考えており、さらなる骨密度の低下を防ぐ必要があります。「原発性骨粗鬆症の診断基準・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年度版」では運動や食事療法が推奨されてますが、実際されだけでは骨密度は低下し続けます。骨粗鬆症の治療と予防には、ビスフォスフォネート製剤が有効だと考えています。


骨粗鬆症検査について


<X線検査>
骨粗鬆症を起こすことが多い脊椎のX線検査が基本になります。椎体の骨梁や骨陰影濃度で骨量の減少の程度や椎体の骨折の有無を判定します。また、骨が溶けたように見えるがんの転移や高齢者に多い「変形性脊椎症」という骨の病気は骨粗鬆症と症状も似ていることもあり、どちらの病気かを詳しく見ていきます。
ただ、このX線検査では骨量を数値で知ることはできませんので、骨量計測検査を併せて行うことが、必要となります。


<骨量計測装置>
・DXA(デキサ法)
全身の骨量を正確に知る方法にデキサ法があります。性質の違う微量の二種類のX線を出して、全身の骨、あるいは腰椎、大腿骨など任意の部位の骨量を測定します。骨量の測定法では、デキサ法が最も精度が高いと言われています。しかしデキサ法の装置は、大型で費用がかかることなどから限られた医療施設にしか設置されていないのが現状ですが、精密検査には欠かせない装置といえます。

・MD法
簡便なレントゲン撮影法で、アルミ階段の板と一緒に両手の骨を撮影し、X線写真上からコンピューターを使って骨量を計測する方法で、正確さはデキサ法に劣るが、検査は短時間ですむという利点があり、集団検診で骨量が異常に低い人を見つけ出すには、MD法が有用という意見もある。ただし、骨粗鬆症にとって重要な「脊椎」や「大腿骨」など全身の骨量を計測できないのが、欠点である。

・QCT法
CT装置を用いて、脊椎の骨量を測る方法です。この方法は脊椎の骨量を直接測れるという利点があります。しかしデキサ法に比べて放射線を浴びる量が多く、また骨量検診のためだけにCTを使用することには難しい面もある。

・超音波法
踵の骨に超音波を当て、その骨の伝わる速度と減衰率を測って、骨量を求めるという検査法です。腹部超音波に使われるよりも低周波のものを使用するので、一番安全な骨量測定法と言えます。ただし、超音波は骨の構造にも左右されると考えられ、骨量だけを正確に測れているかどうかはまだ解明されていません。治療経過を追うような詳しい診断には今のところ不向きです。



<骨代謝マーカー>
骨にはカルシウム以外にもいろいろな成分が含まれています。骨の代謝により破壊と再生を繰り返しています。古くなった骨を破骨細胞がどんどん溶かして破壊すると、骨芽細胞が破壊された部分に新しい骨を形成して元の形に修復していきます。
骨の破壊と再生を繰り返す過程で、尿や血液にいろいろな成分がでてくるようになります。この出てきた成分の種類と量を調べることによって、骨粗鬆症になる可能性の予測ができるようになりました。この成分を骨代謝マーカーといい、今注目を集めている新検査法です。



<当院の骨量計測装置>
 当院の骨量計測装置はアメリカ、GE社製の「X線骨密度測定装置 PRODIGY」で、測定方式はデキサ(DXA)法です。










<PRODIGYの特徴は>
1きわめて正確に骨量を測定することができます。
2放射線を浴びる量は、通常のエックス線撮影法の1/10程度です。
3全身の骨あるいは腰椎、大腿骨など、任意の領域を自由に測定できます。
4測定時間が1か所であれば1分弱、全身の骨なら5分くらいと、検査時間が短い。
5検査終了後、すぐに結果がでます。

<検査を受ける方へ>
(1)ルーチンで腰椎と大腿骨の二か所の骨量を測定します。
(2)衣類にボタン、金属類があれば正確な測定はできませんので、検査衣に着替えて検査を始めます。
(3)検査台に仰向けに寝ていただきます。何の苦痛もなく3分ほどで検査が終了します。
検査終了後、瞬時に数値化し、骨量が年齢相応の標準値と比較して、どの程度なのか、グラフで示してくれます。


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