骨粗鬆症について:函館・松前の整形外科病院 - よしだ整形外科

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骨粗鬆症について

第6~10回骨コラム(H22.4~H22.8)

第6回 骨コラム (H22.4.14)

 

H19年度(国民生活基本調査)によると介護が必要になった要因として、骨粗鬆症による転倒、骨折等の割合は全体の一割を超える事が明らかにされています。数としては背骨の圧迫骨折の割合が最も多いのですが、中でも手術を要し、重症となる比率の高い大腿骨頸部骨折は、諸外国では、予防、治療の普及により減少傾向が見え始めたところもありますが、この医療大国(?)日本においては、2007年の調査によるといまだに増加の一途をたどっています。現在、大腿骨頸部骨折を3年間で約半分に減少可能な薬も出てきています。
皆さん、まず御自分の骨の強さの検診を受けに当院へ御越しください。

 

 

 

第7回 骨コラム (H22.5.12)

 

超高齢化社会を迎えて何よりも大切なのは単なる延命ではなく、少しでも自立すること、すなわち健康寿命を延ばす事です。現在の医療ではきわめて驚くべき事に50歳の日本人女性が一生の間には、約3人に1人背骨の骨折を起こし、5人に1人(約20%)が大腿骨近位部骨折を起こす危険があることが近年解明されました。この2つの骨折は、要介護度の上昇および寝たきりに結びつくきわめて恐い骨折です。
ところが、50歳の日本人女性ではこの事実を御存知の方は恐らく皆無でしょうし、医者側ですらこの知識を持っている者はきわめて少ないのが現状です。
確かに、癌、脳卒中、等々は恐い病気であることは言うまでもありません。しかし、それにくらべて骨粗鬆症は50~60歳代では自覚症状がなく進行することが多いため、私が説明申し上げても患者さんは「まさかそんなハズは?!」と気付くかない方が大半です。
現在では、近い将来の骨折を防ぐ効果が認められた薬が次々と登場しています。しかもそれらの薬剤の多くは副作用の少ないものがほとんどです。
 是非まず御自身の老後の自立を目指し、私共のクリニックへ御相談下さい。

 

 

 

第8回 骨コラム 『大腿骨近位部骨折』 (H22.6.16)

 

骨粗鬆症の骨折のなかでも、手術を必要とする確率が高く、70歳代から高齢の方に多発し、その後の死亡率を押し上げる最も重い骨折です。
現在日本では約1000人に1人がこの骨折を起こしていて、最近20年でその数は3倍近く増加しています。さらに、この骨折の治療には順調に行っても200/月 万円以上の医療費がかかります。
単純計算すると、国民1人に付き2000円/月 を負担しなければならないのです。現在、私どもは、将来のこの骨折を防ぐべく、診断、治療に懸命に取り組んでおります。フィンランド、アメリカ、オーストラリアなどでは、国家ぐるみの努力の結果、この骨折は、減少傾向が見え始めたとするデータが発表されています。しかし、残念ながら日本では現在でも増加傾向が続いています。
さらにこの骨折は、背骨の圧迫骨折(背中が曲がる)と密接な関係が有ることが解明されており、背骨の骨折の防ぐことも大切なのです。
いずれの骨折も、その予防には効果の明らかな(将来に向けて)薬を飲んでいただくことが最も大切です。70歳以降の御本人、または御家族の方々のために男性女性を問わず、正しい診断、治療に一歩を踏み出すように是非心がけてください。

 

 

 

第9回 骨コラム『骨粗鬆症治療における血液・尿検査の重要性』(H22.7.16)

 

皆様こんにちわ。陽気も良くなり、海、山、畑へと仕事に精をだされている方も多いようです。御高齢となっても仕事が出来るということは、何よりの幸福と考えてもよいかと思います。この様に骨粗鬆症の予防、治療目的は、将来の骨折予防にとどまらず、より快適な老後を過ごせる(医学的用語ではQOL。すなわち生活の質の維持をいいます)事がきわめて重要なテーマになります。当院でも多くの皆様が、それぞれの年齢、重要度に合わせた薬剤により治療を続けていらっしゃいます。しかし、骨粗鬆症の治療はなかなか長く続けられていないのが現状です。その第一の理由は治療の効果が御本人になかなか自覚しづらい事だと考えられます。それをある程度可能にするのが、血液・尿検査で得られる骨代謝マーカーという値です。現状では、最新の骨代謝マーカーであるTRACP―5bが加わり、より早く、正確に患者様へ薬剤の効果をお伝え出来る様になって来ました。是非皆様も薬の飲みっぱなしではなく、定期的に検査を受けていただく事によって骨代謝マーカー値の変化を知っていただき励みにして薬剤を続けていただき、老後に備えましょう。

 

 

 

第10回 骨コラム (H22.8.18)

 

今日は比較的若年層(50~60歳代)の女性における、生活の質(QOL)向上に沿った骨粗鬆症治療をとり上げます。この年代では、骨粗鬆症に関連した骨折をする事が、より高齢の方に比べ少なく、手首、肋骨、背骨の圧迫骨折が代表的でしょう。しかし、患者さん側では、手首、肋骨の骨折は単なる“ケガ”(若い頃と同様)と思ってしまう事がほとんどです。また、背骨の圧迫骨折も程度が軽ければ痛みが早く消えてしまうため、骨折が起こった事の意味を自覚しづらい事も確かでしょう。しかし、この種の骨折は、一度起こした方は、2回目、3回目の骨折をくり返す確率がきわめて高くなる事(ドミノ現象)は統計的に明らかなのです。すなわち骨粗鬆症は予防する事が優先されるべき疾患なのです。現在はこれらの骨折をより効果的に予防可能な薬剤が次々と使用可能となってきています。我々も、患者様のQOL維持、将来の骨折予防を含めた、より有効な治療を求めて猛勉強中です。どうぞ、この年代の女性に限らず、男性の皆様、ご自身の近い将来をより快適に暮らせる様、1人でも多くの方々が検診に来られる事を願っております。

 

吉田院長の「骨コラム」一覧
骨粗しょう症について



骨粗鬆症とは

 骨粗鬆症は、体格の変形や痛みを伴い、さらに体の各部位の骨折を起こすことによってQOL(生活の質)は著しく低下します。このことは、健康寿命(自分の身の回りのことは自分で出来、楽しく暮らせる寿命)を短くする重篤な病気です。当院では最新の診断機器を完備し、最適の治療をめざします。


当院における骨粗鬆症の診断、治療と予防について

<骨粗鬆症の診断>
 骨粗鬆症の診断は、変形性関節症、肩関節周囲炎、腰が痛い、足が痺れるといった一見主訴とは違うような患者様に対しても60歳を目安に拒否される患者様を除いて骨密度を測定しています。また、X線の撮り方ですが、普通は第3腰椎を中心に腰椎の4方向を撮りますが、それでは第1腰椎を撮影出来ずに圧迫骨折を見逃してしまいます。当院では55歳以上の方には第8胸椎と第3腰椎を中心に全ての撮影し骨粗鬆症を見逃さないようにしています。

<骨粗鬆症検査>

・問診
・X線撮影
・骨密度測定:DXA
・骨代謝マーカー
・MRI検査  など


<骨粗鬆症の予防と治療>
 骨粗鬆症は予防すべき疾患だと考えています。特に自覚症状がない、閉経前後の骨密度が急速に低下する時期が重要と考えており、さらなる骨密度の低下を防ぐ必要があります。「原発性骨粗鬆症の診断基準・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年度版」では運動や食事療法が推奨されてますが、実際されだけでは骨密度は低下し続けます。骨粗鬆症の治療と予防には、ビスフォスフォネート製剤が有効だと考えています。


骨粗鬆症検査について


<X線検査>
骨粗鬆症を起こすことが多い脊椎のX線検査が基本になります。椎体の骨梁や骨陰影濃度で骨量の減少の程度や椎体の骨折の有無を判定します。また、骨が溶けたように見えるがんの転移や高齢者に多い「変形性脊椎症」という骨の病気は骨粗鬆症と症状も似ていることもあり、どちらの病気かを詳しく見ていきます。
ただ、このX線検査では骨量を数値で知ることはできませんので、骨量計測検査を併せて行うことが、必要となります。


<骨量計測装置>
・DXA(デキサ法)
全身の骨量を正確に知る方法にデキサ法があります。性質の違う微量の二種類のX線を出して、全身の骨、あるいは腰椎、大腿骨など任意の部位の骨量を測定します。骨量の測定法では、デキサ法が最も精度が高いと言われています。しかしデキサ法の装置は、大型で費用がかかることなどから限られた医療施設にしか設置されていないのが現状ですが、精密検査には欠かせない装置といえます。

・MD法
簡便なレントゲン撮影法で、アルミ階段の板と一緒に両手の骨を撮影し、X線写真上からコンピューターを使って骨量を計測する方法で、正確さはデキサ法に劣るが、検査は短時間ですむという利点があり、集団検診で骨量が異常に低い人を見つけ出すには、MD法が有用という意見もある。ただし、骨粗鬆症にとって重要な「脊椎」や「大腿骨」など全身の骨量を計測できないのが、欠点である。

・QCT法
CT装置を用いて、脊椎の骨量を測る方法です。この方法は脊椎の骨量を直接測れるという利点があります。しかしデキサ法に比べて放射線を浴びる量が多く、また骨量検診のためだけにCTを使用することには難しい面もある。

・超音波法
踵の骨に超音波を当て、その骨の伝わる速度と減衰率を測って、骨量を求めるという検査法です。腹部超音波に使われるよりも低周波のものを使用するので、一番安全な骨量測定法と言えます。ただし、超音波は骨の構造にも左右されると考えられ、骨量だけを正確に測れているかどうかはまだ解明されていません。治療経過を追うような詳しい診断には今のところ不向きです。



<骨代謝マーカー>
骨にはカルシウム以外にもいろいろな成分が含まれています。骨の代謝により破壊と再生を繰り返しています。古くなった骨を破骨細胞がどんどん溶かして破壊すると、骨芽細胞が破壊された部分に新しい骨を形成して元の形に修復していきます。
骨の破壊と再生を繰り返す過程で、尿や血液にいろいろな成分がでてくるようになります。この出てきた成分の種類と量を調べることによって、骨粗鬆症になる可能性の予測ができるようになりました。この成分を骨代謝マーカーといい、今注目を集めている新検査法です。



<当院の骨量計測装置>
 当院の骨量計測装置はアメリカ、GE社製の「X線骨密度測定装置 PRODIGY」で、測定方式はデキサ(DXA)法です。










<PRODIGYの特徴は>
1きわめて正確に骨量を測定することができます。
2放射線を浴びる量は、通常のエックス線撮影法の1/10程度です。
3全身の骨あるいは腰椎、大腿骨など、任意の領域を自由に測定できます。
4測定時間が1か所であれば1分弱、全身の骨なら5分くらいと、検査時間が短い。
5検査終了後、すぐに結果がでます。

<検査を受ける方へ>
(1)ルーチンで腰椎と大腿骨の二か所の骨量を測定します。
(2)衣類にボタン、金属類があれば正確な測定はできませんので、検査衣に着替えて検査を始めます。
(3)検査台に仰向けに寝ていただきます。何の苦痛もなく3分ほどで検査が終了します。
検査終了後、瞬時に数値化し、骨量が年齢相応の標準値と比較して、どの程度なのか、グラフで示してくれます。


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